~第17話~インドの暴走族

屋上の隅っこに腰かけてしばらく鳩おじさんを眺めていた。

ふと見ると隣の家の中庭みたいなところで女の子が洗濯をしてた。

「何してんの~?」

「ふふふふ」

笑うな!!

「いくつ?」

「16よ」

どストライク!!

「あなたは?」

「25才のイタリア人だよ!そっち行っていい?」

「え?お母さんいるし・・・」

「大丈夫大丈夫!こっそり行くから!」

屋上から隣の屋上に飛び移ってどんどん下に降りて行った。

「お待たせ!!」

「びっくりした~あそこから降りてきたのあなたが初めてよ」

「だろうね・・・洗濯終わったらお茶しに行かない?」

俺は鼻の下を伸ばしながら近くに置いてあった箱の上に腰かけた。

「ダメよ・・・インド人の女性はそんなに自由じゃないわ。お母さんに怒られちゃう」

「そっかぁ・・・」

「いつ来たの?」

「今日だよ、もう明後日にはいなくなるけどね・・・」

「じゃあ私との出会いもアーグラの思い出ね」

「そんな寂しいこと言うなよ・・・」

「じゃあアーグラ離れてもここに来たこと思い出してもらえるように・・・」

その子が近づいてきて俺の手をギュッと握った。

完全にボッキしてしまいながらも目を閉じて彼女の顔に近づい・・・

清水君!!

ねぇ!!

ねぇってば!!清水君!!!

起きてよ!!

ジャンカジャンカジャンカジャンカ!!

カーン!!

カーーーーーン!!!

何!?

何だよこの音!?

なんか外でやってるから見に行こうよ!!

お、おう・・・。

ジャンカジャンカ!

カンカンカン!!

ジャンカジャンカ!!

しっかしうるせぇなぁぁぁぁぁぁあ!!

何時だと思ってんだインド人は!!

ホテルを出ると、目の前の路地でお祭りをやってるではないか。

派手な格好した女の子を取り囲んで子供たちが飛び跳ねてるし。

近くにいたおっさんをとっ捕まえて聞いてみた。

「これ何!?何の騒ぎ?」

「結婚式だよ!あいつが旦那であいつが嫁!」

「うんうん」

「で、あれがお父さんであれがお母さん。で向こうにいるのが弟・・・だったかなぁ」

と、聞いてもないどうでもいい情報まで教えてくれた。

おっさんと話してたらちびっ子たちが集まってきた。

砂糖に群がる蟻んこのように増えてくる!

うぇーい!日本人うぇーい!

しっしっ!!

あっち行けっ!!

ちょっ・・・触んなっ!!

だーめだっての!!

引っ張るなっつーの!!

やめてぇぇぇぇぇぇぇぇ!!

どんだけ人気なんだよ俺のカメラ泣(じいちゃんに借りてきたカメラ)

インドの暴走結婚式を見送ってホテルに戻った。

いやぁ眠い!!

いい夢見てたのに安藤に起こされるし!散々だよ!

安藤!!

何?

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もう何があっても起こすなよ!

わかったよ

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うぜぇぇぇ!!!!

チャンカチャンカチャン!!

カーン!!

カーン!!

だぁぁぁぁ!!

帰ってきたー!!

うるせぇぇぇぇぇ!!!