~第7話~ホテルに泊まろう
インド人を散々わめき散らかした俺。
彼はこう言った。
「まぁまぁ落ち着けよ、フレンド。」
お前はいつから俺のフレンドになったんだ!!
しかもそのフレンドを怒らせてるのは紛れもなくお前だ!
なんだかんだ言い合ってるうちに俺達はこいつのリクシャーに乗っていた。
ザ・インドマジック!!
いや、なんだかんだ悪そうな奴じゃないしさ。
面白い奴だし、俺たちでホテル決めて、そこに連れてってもらえばいいじゃん?
てことになったわけ。
そして俺達はそいつについて行きリクシャーに乗った。
(実際運転するのはそいつのおじさんで、そいつはタダの営業マン)
「安藤!とりあえずどこでもいいからホテル決めちゃおう!」
「そうだね!」
「おし!ジャンパトゲストハウス分かるか!?」
運転手「イェス!!もちろん分かります!」
「じゃあそこ行って!」
「はい!」
リクシャーは走る。
無意味にクラクションを鳴らしながら。
どいつもこいつも走り方は同じのようだ。
運転手「はい着きましたよ!」
はぁ・・・。
やっと休めるよ・・・。
って馬鹿!!
俺たちの目の前には「DTTDC」の文字が・・・。
「ここがジャンパトゲストハウスだってか!?あぁ゛!?」
運転手「いや、ここ私の友達のとこだから心配しないで」
そういう問題じゃないわボケ!!
「もういい!!金なんか払わないぞボケ!!」
運転手「分かりました!!ちゃんとジャンパトゲストハウス連れてけばいいんでしょ連れてけば!」
な・ん・で・・・逆切れなんだよ!!
ふざけるんじゃないよまったく。
俺達は店から出てきたそいつの友達と名乗るうさんくさいインド人を押しのけてリクシャーに乗った。
運転手「・・・で、ジャンパトゲストハウスってどこにあるんですか?」
てんめぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!
もういいわかった!
とりあえずここまで行けと地図を開いて見せた。
着いたところは小さいバザール。
運転手は俺たちに向かってなにやら言っているがほとんど無視して金だけ払いリクシャーを降りた。
ここがジャンパトゲストハウスの近くだと言うことは確かだったが、なんせ人に聞いても当てにならん。
てか聞けば聞くほど目的地から遠ざかりそうな気がするんだ。
とりあえずキョロキョロしてたらおっさんが近寄ってきてあそこだと指を刺して教えてくれた。
ものすごい親切な人だと感動したが、よく考えてみたら普通のことだ。
うさんくさい入り口にはうさんくさい門番のおっさんがいた。
そして俺たちはうさんくさい建物のうさんくさい階段を登った。
英語の達者な安藤先生(いやもうあの事件以来安藤は「安藤先生」ではない、ただの安藤である)がペラペラ話してくれてなんとかチェックイン。
二人で400Rsだった。
はっきり言って高い!!
日本円にしたら約1000円だ。
二泊すれば大阪の早朝ピンサロに行ける!
まぁこの際いいだろう。
(ただの)安藤がいるうちは少し贅沢しよう。
ドラクエⅢに出てくるような鍵を渡され部屋に案内された。
思ったよりキレイだ。
ベッドがあるじゃないか!!
トイレはと言えば・・・
まぁ説明しようがない。
というか、説明したところでこれを読んでる人たちは説明されたことを後悔するであろうトイレであった。
聞いてはいたが、トイレットペーパーなどというぜいたく品はない。
知ってる人も多いと思うが、インド人は基本的に左手で尻を拭くのだ。
拭くというよりは水をかけて洗うと言ったほうが正しいのかもしれない。
まぁインド人がウンコしてるところを見たわけでもなく、見たいとも思わないから詳しい情報は手に入らなかった。
そんでもって右手で食事をするのだ。
なぜかと言うと、うんこしたあと尻を左手で拭きながら、うんこを右手で食べれるようにだ。
たぶん。
左利きの奴にはつらい話だとは思うが、実に無駄のない文化だと思う。
だってうんこを拭きながらうんこを食べれるんだから画期的な発想だ。
食事中の皆様、本当にありがとうございました!
左手は「不浄の手」とされ、握手や物の受け渡しには基本的に右手が使われる。
でも実際つり銭とか渡される時左手を使ってる人も多かったな。
俺だからか!!
俺がウンコみたいだからか!!
でもってシャワーは基本的に「水」-
安宿はお湯は出ないところが多い。
出ても時間帯が決まってたり、5分くらいしか出なかったりだ。
ここは少し高いせいか、お湯が出た。
もちろん5分だけ。
とにかく疲れた俺達は気付けば爆睡していた。
夜の7時頃目が覚めた。
腹が減ったのでルームサービスのカレーを頼んだ。
早速右手を使って食べてみたが、なんとも食いづらいではないか。
てか指がふやけて大変なことになった。
気分が悪い。
しかも手を洗わないまま食べ始めた俺は、もちろん安藤に怒られた。
安藤は潔癖症なのかなんなのか知らないが俺はよく怒られる。
「清水君汚いよ!!」
このセリフ何百回言われたことか。
ただの安藤のくせに!!
俺はその後左手でけつも拭いてみたが、安藤には内緒だ。
そんなこと言ったら絶対に怒られる。
むしろ部屋を別にされそうだ。
カレーはうまかった。
普通に食えた。
ただ日本で言うところのカレーとは全く別の食べ物だ。
「スパイスで煮込んだスープ」と言えば分かりやすいだろうか。
俺は辛いものと可愛い女の子が苦手だ。
悪魔怪獣はなんでもこいだ。
インドにはスパイスが何十種類もあるうち、辛いスパイスは4種類くらいだと聞いた。
なんだインド余裕じゃん!
と思ったが
ほとんどのカレーにその4種類のスパイスが使われているらしい。泣
辛くないやつを頼んだからこのカレーは特に辛くなかった。
心配していたんだ。
バザールに行きたいって言えば勝手に友達の旅行会社に連れて行かれるし、ホテルに行ってくれって言えば勝手に親戚の旅行会社に連れて行かれるし。
もしかして辛くないカレーを頼んだら辛いおしるこでも出てくるんじゃないかって。
もし熱湯の前で「押すなよ!!」って言ったら、奴らは確実に押すだろうからな。
夜になって屋上に登ってみた。
期待通りなんにもない屋上だった。
ただぼろいネオンが辛うじてホテルらしさをかもし出していただけだ。
外に出ようか迷った。
インドの夜は危険な匂いとカレーの匂いがぷんぷんするではないか。
「夜は危ない」
これは発展途上国のお約束だろう。
脅されて金取られたり・・・
騙されてインドの山奥連れて行かれたり・・・
と、いうことで俺達は外に出てみた。
思ったほど危ない雰囲気はないじゃない!
余裕余裕♪
ただ、ひとつ。
ひとつだけ言わせてもらえるなら・・・
野良犬よ。
あっち行ってくれ(泣)