~第10話~インドの不思議

ところでみなさんお気づきでしょうか?

この画像を見て気になるところはないでしょうか?

牛の角を見てもらいたい。

左の牛君は短くてなんだか可哀相な「短小包茎君」であります。
(おそらく童貞)

問題は右の牛だ!

よく見ると角が自分の頬に向かって生えてるではないか!!

牛の角がどのくらいのペースで生えるのかは俺にはよくわからないので、田中義剛にでも聞いてくれればいいと思うが、このままの勢いで行くと多分来年辺りには自分の角が自分の頬を突き破っているのではないだろうか。

謎は深まるばかりである。

これもインドの7不思議のひとつに伝道入りしておこう。

そんな彼「自爆君」は自分の角で死ぬなんて夢にも思っていないだろう。

とりあえず「短小包茎君」と「自爆君」はこれからも仲良くやっていけばいいと思う!

勝手にしてくれ!

薄汚い道端で洒落たティータイムを終えた俺達はメインバザールを歩き回ることにした。

直線約2kmほどのバザールにはいろんな店が立ち並んでいた。

洋服屋、シルク屋、お香屋、レストラン、宝石屋・・・etc

もちろんお客さんのほとんどは・・・

牛だ・・・。

 

肌の色、服装、どこから見ても日本人、もしくは韓国人、もしくは中国人、もしくはイタリア人の俺たち。

10m置きにうさんくさいインド人に声をかけられるのである。

夕方の新宿歌舞伎町を歩く綺麗なお姉さんの気持ちがなんとなく分かった気がする。

安藤先生は基本的に話しかけてくる彼らを無視する。

さすが先生である。

俺はと言うと・・・

とにかく話したがりである。

英語で会話なんて、まるで自分がインテリになった気分でなんとも言えない鼻高々な気分を味わえるのだ。

まぁインドへ来てから学んだ英語で会話が成り立つわけもないんだが。

とにかく話せない英語で、明らかに俺たちを騙そうとしてるインド人と会話する俺。

「へい!どこから来た?」

「日本だよ」

「どこ行くんだ?」

「ただブラブラしてるだけだって」

「なんで!?」

「いや・・・なんでって言われても・・・」

「僕いいお店知ってるから行こうよ!」

「いいってば。ただブラブラしてんだから」

「なんで!?」

「だからなんでって聞くな!!答えられないだろうが!!」

 

「なんで!?」

 

「ばいばい!」

最終的には俺が英語を話せないため、お詫びといっちゃなんだが逆ギレをプレゼントしてお別れをするのである。

今思えば全く英語の話せない俺がインドで少し話せるようになったのは、インド人のなれなれしさのおかげかもしれない。

絶対に感謝はしないが。

何人ものインド人を掻い潜り俺達は明日向かう「アーグラ」行きの鉄道のチケットを買うために駅へ向かった。

事前に調べた「インドの鉄道」とはこういったものだ。

 

1:チケットを買おうと、2階にある「外国人専用窓口」に向かうと、どこからともなく現れるインド人に「今日は休みだ」と言われ足止めをくらい、いつもの旅行会社へ連れて行かれる。

2:インドの鉄道は時間通りに来ないことのほうが多い、12時間待ったあげくキャンセルになったりする場合もある。2時間3時間待つのは日常茶飯事。

3:寝台列車は寝ている間に物を盗まれる。ひどい時は着けている指輪を盗まれることもある。

4:2等自由席は乗車率400%

などなど・・・。

いい噂など全くない!!

かと言ってインドに来た以上俺達はいつまでもデリーにいるわけにはいかないのだ。

メインバザールを逆戻り、出るとすぐそこには「ニューデリー駅」がある。

駅の2階にある噂の「外国人専用窓口」に向かった。

(さぁ、どっからでも来やがれ!俺は騙されないぞ!!)

気合い十分俺達は駅に突入。

(よく考えたら鉄道のチケットを買うだけなのに気合いが必要なのかはインドの7不思議のひとつである・・・)

物凄い人ごみをすり抜けるように歩く。

インド人と目が合う。

(よし来い!!お前か!!お前が俺を騙そうとしてるのか!!?)

・・・違ったようだ。

看板どおりに階段を上る。

上から降りてくるインド人と目が合う。

(来たな!!「今日は窓口休みだ!」とか言いながら俺たちをいつもの旅行会社に連れて行くつもりだな!!?)

・・・違ったようだ。

「外国人専用窓口」に入る。

あれ??

着いちゃったよ!

すんなり着いちゃったよ!

さっきまでの気合を返せバカタレ!!

広いロビーに長いソファーがあり、そこに明らかインド人ではないだろう素敵なオーラを放つ外国人がたくさん座っていた。

彼らはどう見ても騙す側ではなく騙される側の人間だろう。

俺達はまず電車の時間を調べ申請書らしき書類に必要事項を書く。

もちろん全部英語だ・・・。

「安藤!!頼んだ!!わからない単語一個一個辞書引いてたら俺ここで干からびて死んでしまうわ!」

「OK!マカセトイテ!」

 

そう言いながら一生懸命辞書を引く安藤先生には頭が上がりません。

実際書類関係の英語は専門用語が多いから聞いたことない英語がいっぱいでしたね。

「FUCK」もなければ「BITCH」もない。 

周りを見ると日本人なんだか韓国人なんだか分からない奴が多すぎて下手に話しかけられない空気をかもしだしているではないか・・・。

そんな中突然聞き覚えのあるなんとも懐かしい言葉が!!

俺はインドに来て人生初の逆ナンをされたのだった。

「あの~、鉄道のタイムテーブルってどこに売ってるか知ってますか?」

うわぁぁ~!!

久々に聞いた日本語!!(しかも女性バージョンというおまけ付)

これは逆ナン以外のなにものでもない!!

きっとこの人もインドのやかましさに疲れ俺に癒しを求めてきたんだろう。

日本では癒し系ならぬイヤラシイ系で有名な俺に声をかけるとはお目が高い!!

いやぁモテる男はつらい!!

「あ、1階の窓口に売ってましたよ!」

「あ、そうですか、ありがとうございます!」

「どっから来たんですか?」

「大阪と名古屋です!女二人寂しく・・・はい笑」

「へぇ~すごいっすね!女二人じゃ寂しいですね~!じゃあ立ち話もなんな・・・

「じゃあまた!!」

「ちょ・・・ちょっ!!」

・・・・・・。

 

「安藤!!てめぇいつまで辞書引いてんだこらぁぁぁぁ!!」

「え?」

むかつく。